気になる病気
消化器疾患・生活習慣病・認知症など
当院で対応する主な疾患について。
気になる病気をお選びください。
すぐに受診すべきサインとは…
あなたとあなたの大切な人の命を守るために。
こんな症状が起こったらすぐにご相談ください。
- 1分1秒でも早く病院受診または、
救急車を呼んだ方が良い状態 - 様子を見ていると分単位で
病状が悪化することのある疾患
- くも膜下出血 など
- 経験したことのない突然の激しい頭痛
- 心筋梗塞や大動脈解離 など
- 経験したことのない突然の激しい胸の痛み
- 脳梗塞や脳出血 など
- 急に手や足など体の一部が動かない、
ろれつが回らない など
- 大きな脳出血や脳梗塞、不整脈、
低血糖、てんかん発作 など - 意識が無い、意識がはっきりしない、
倒れて痙攣している
- 胃潰瘍や食道静脈瘤、
大腸憩室出血 など - 大量の吐血や下血、赤ワイン色の下痢
- 気管支喘息や心不全、
肺血栓塞栓症 など - 呼吸困難
- アナフィラキシー など
- 食後や運動のあとに突然体がかゆくなったり、
ぜんそくなど呼吸困難が起こる場合
- すぐに受診すべき状態
- 翌日以降まで放置すると病状が悪化することがあるので、
仕事や学校を休んでも受診した方がよい疾患
- 胃がん、胃、十二指腸潰瘍、大腸がん、出血性腸炎・虚血性腸炎 など
- 便に血液が混じる、少量でも吐血、下血した
- 肺癌、肺結核、気管支拡張症 など
- 咳をしたら血痰が出た
- 気胸など
- 急に胸が痛くなって呼吸が苦しくなった
- 虫垂炎などの腹膜炎 など
- 歩いたり咳をするとお腹に響くような
腹痛がある
- 不整脈 など
- じっとしているのに動悸が止まらない
これらは急を要する症状や疾患の目安です。これらの症状があるときには出来るだけ早く受診してください(これらの症状がなければ受診しなくてもよいと判断するためのリストではありません。わからないことは自己判断せず医師の判断を仰いでください)。
生活習慣病
生活習慣病は、食生活や運動、喫煙、飲酒など生活習慣の乱れから引き起こされる病気の総称で心筋梗塞、高血圧、糖尿病はもちろん、脳出血、脳梗塞、がんの一部も生活習慣病に含まれます。
できるだけ早い「生活習慣」の見直しが肝要。
生活習慣病の怖いところは、ほとんど自覚症状のないまま十数年~数十年かけて進行し、気がついた時には命に関わる状態になっていることもあることです。
糖尿病や高血圧などが健診で分かった場合に、してしまいがちで一番してはいけないことは、今症状がないからもう少し様子を見ようとそのままの生活習慣を続けることです。できるだけはやく、あるいは病気が進んでいないうちであれば生活習慣を見直すだけで病状が改善することもしばしばあります。また、たとえ最初はお薬を飲まないといけない状態であっても生活習慣に気をつけることでお薬を減らしたり、場合によってはお薬なしでも安定した状態が続けられることもあります。
少しでも心配があれば、まずはお気軽にご相談ください。
症状のない今、5年先、10年先の未来の自分のために今日から生活習慣を一緒に見直しましょう。そして、まずはできることからやっていきましょう。糖尿病かもしれない、最近血圧が高いと言われたけどどうしようなど、ご心配事があれば、お一人ずつ違う生活習慣をお聞きして、改善すべきこと・やった方が良いことがあればアドバイスします。最適な方法で治療を始めましょう。お気軽にご相談ください。
逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流することで食道の粘膜に炎症がおこる病気です。胸やけや、胸痛、すっぱいものが上がってくる感じなどが主な症状で、のどや口にまで逆流すると喉の違和感や声がれ、長引く咳の原因にもなります。
早食い、丸呑み、夜遅い食事、脂っこい食事、肥満などが原因。
胃と食道のつなぎ目は正常では逆流の起こらないように締まるのですが、早食いや一気にたくさん食べる習慣があると次第に胃と食道のつなぎ目が緩んできて食道へ胃酸が逆流しやすくなります。食べてすぐ横になったり、夜遅くに食事をとると、胃の中に食べ物が残ったまま横になるので、よけいに、胃酸は上がってきやすくなります。また、脂っこい食事やおやつを頻繁にとると、胃酸が出やすくなり、その結果食道への逆流がひどくなります。肥満や前かがみの姿勢などおなかが圧迫される状態では胃が押され、胃酸が逆流しやすくなります。
違和感を感じたら、まずは検査。
内視鏡検査では胃と食道のつなぎ目の緩みや食道粘膜の炎症が、診断できます。生活習慣の改善でかなりの患者さんで症状は改善しますが、改善がないと繰り返し症状の出ることが多い病気です。炎症や症状が強い場合は内服薬で治療します。胃酸の逆流刺激が続くとまれに癌(バレット上皮癌)を発症しやすくなるともいわれており定期的な内視鏡での観察が必要です。
ピロリ菌感染
正式名称は『ヘリコバクター・ピロリ』という細菌で、多くの場合、子供の頃に菌が口から入ることで感染します。一度、感染すると長い間胃の粘膜に住みついて、粘膜に炎症を起こし、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性胃炎から胃がんになる原因になります。
ピロリ菌に感染していると約15倍の胃がん発生率。
胃がんになる率では、ピロリ菌に感染している人は感染していない人に比べ15倍高いというデータがあります。しかし、胃粘膜の萎縮が軽いうちに除菌すると予防効果が高いので少しでも早い時期に除菌することが重要です。
内視鏡で潰瘍があった場合には、同時にピロリ菌の有無を確認します。逆に健診などでピロリ菌陽性と言われた場合には内視鏡で今の胃の中の状態を確認し、胃炎や潰瘍がないか、また、すでにがんができていないかを確認した上で除菌をおこないます。
除菌後も定期的に内視鏡検査を受けましょう。
除菌のためには、3種類の薬を朝夕の2回、7日間服用します。約7-8割の方で除菌できますが、もし除菌に失敗した場合は薬を変更の上2回目まで除菌することが保険診療で認められています。
除菌した後は放っておかず、必ず除菌が成功したかどうかを確認しましょう。除菌が成功した場合は潰瘍の再発や胃がんができにくくはなりますが、もともと未感染の人よりは発がんの危険性が高いため定期的に内視鏡検査を受けるようにしましょう。
胃潰瘍・胃がん
胃潰瘍はピロリ菌感染、ストレス・暴飲暴食などで弱った胃粘膜が胃酸により障害されることで起こります。胃がんは検診での早期発見やピロリ菌除菌による発がん予防により死亡原因としては次第に減少してきてはいますが、まだまだ胃癌が見つかる方は依然として多いのが現状です。
【胃潰瘍】
胃潰瘍になったときには胃酸を抑える薬や粘膜保護のための薬で治療します。今はのみ薬で強く胃酸を抑えることが出来るので胃潰瘍のために手術が必要になることはほとんどなくなりました。ピロリ菌がいた場合には抗生物質と胃酸を抑える薬を併用して1週間飲むことで除菌します(ピロリ菌除菌についてはこちら)。ピロリ菌を除菌することで潰瘍の再発を予防することが出来ますが、喫煙・ストレス・香辛料やコーヒーの取り過ぎなど潰瘍予防のための生活習慣改善も大切です。
【胃がん】
胃がんの症状は、早期の場合、ほとんどありませんが進行して胃がんが深くなると胃潰瘍の症状と同じく胃の痛みが出てくる事もあります。早期がんのうちに発見できれば内視鏡的に治療できる事が多く、たとえ進行癌であった場合も、手術できる段階で発見されれば完治することもできます。少しでも早く胃がんを発見するためにも、症状があれば必ず内視鏡検査を受けましょう。
また胃がんにならないよう厳重な注意が必要な方の場合、症状がなくとも定期的に内視鏡検査を受けていただくことをお勧めします。胃がんが発見された場合は早急にがん治療の経験豊富な病院に紹介いたします。
- 胃がんにならないよう厳重な注意が必要な方(一例)
- 1)ピロリ菌に感染していることがわかっている人
- 2)50歳以上の人
- 3)親兄弟が胃癌にかかった人
- 4)胃潰瘍、十二指腸潰瘍にかかった事がある人 など
大腸ポリープ・大腸がん
食生活の欧米化に伴って日本人も大腸ポリープや大腸がんになる率が増えつつあり、がんによる死亡率でいうと大腸がんは、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位、女性では第1位を占めるまでになっています。
大腸がんは早期発見が重要。
大腸ポリープのすべてに治療が必要という訳ではありませんが40歳以上に限定すると便検査で異常があった人に大腸内視鏡検査を行った場合、約半数の人にポリープが発見されます。親や兄弟に大腸ポリープや大腸がんがあると自分にもある場合が多く、また生活習慣では脂っこい食事や便秘、肥満、喫煙、飲酒などが大腸ポリープや大腸がんになりやすい危険因子です。大腸がんは早期に発見すれば完全に取りきれる事が多いのですが、進行した状態で発見されると内視鏡治療はできず手術や抗がん剤治療を受けることになります。
早期発見には定期的な検診を。
大腸ポリープや早期の大腸がんでは自覚症状はほとんどなく、発見するには大腸内視鏡検査を行う必要があります。便に血が混じったり、急に便秘傾向になったり下痢になるなど便の様子が今までと違ってきたなど症状があるときは大腸内視鏡検査をうけ、症状がない場合も検便など検診を定期的に受けることをおすすめします。大腸内視鏡検査でポリープや大腸がんが発見され治療が必要な場合は相談の上、最適な医療機関をご紹介いたします。
ウイルス性肝炎
肝炎ウイルスの感染により肝臓が炎症を起こす病気です。中でもB型肝炎とC型肝炎は慢性肝炎・肝硬変の原因として大変重要です。
【C型肝炎】
C型肝炎ウイルスに主に血液を介して感染することで肝臓に炎症がおこり、高い頻度で慢性肝炎となります。多くの場合強い自覚症状が出ることがないため感染していても気づかれることのないまま徐々に進行します。20年程度で慢性肝炎から肝硬変へと進んでしまい、肝硬変のなってしまうと年率約7%で肝臓がんになるといわれ肝硬変への進行を止めることが大切です。このためC型肝炎の治療目標は、
①C型慢性肝炎ウイルスを体からなくすことを第一に目指しますが年齢・病状に応じて、
②肝硬変・肝がんに進まないように肝臓の炎症を抑えることを目標にすることもあります。
①のためには今まではインターフェロンという注射薬を使っていましたが最近はより効果が高く副作用の少ない飲み薬が登場しました。事前検査で薬がよく効くタイプかそうでないタイプかを確認することで9割程度の方でウイルスを体から消すことができます。
②のためには飲み薬・静脈注射・食事療法・瀉血(血を抜いて体から鉄分を減らす)療法などがあり病状に応じ選択します。
ただし肝炎を治すだけではなく進んだ慢性肝炎あるいは肝硬変がある場合は常に肝がんが出てきていないかを採血、エコーやCT/MRIなどの検査で定期的にフォローする必要があります。輸血を受けたことがある方、今までに肝臓が悪いと言われたことがある方、C型肝炎と言われたけれど症状がないので放置していた方などご相談ください。
【B型肝炎】
これまでB型慢性肝炎は母児感染による事がほとんどでしたのでB型肝炎ウイルスをもつ母親から生まれた子供はB型肝炎ウイルスワクチンとグロブリン接種を受けることで慢性化を予防してきました。また平成28年からは、すべての子供さんにこのワクチンが定期接種されることになり、新しいB型肝炎ウイルス感染撲滅を目指しています。
しかし最近B型肝炎ウイルスの種類により大人になってからの感染からもB型慢性肝炎になる方が増えつつあり十分な経過観察が必要です。
B型慢性肝炎の場合C型とは異なり肝硬変になる前から肝がんになる事もあり肝機能異常がある場合はもちろん肝機能が正常であっても定期受診して採血や腹部エコーなどの検査を受けることが大切です。
B型肝炎ウイルスが肝臓で増え、ウイルス量の多い場合にがんになりやすいので年齢を考慮の上B型肝炎ウイルスがふえるのを抑える薬で治療します。
脂肪肝・NASH
脂肪肝とはその名の通り『あまった脂肪が肝臓にたまる病気』で、健診でも3割程度の方にみられる頻度の多い病気です。男性には年齢に関係なく同じくらいの割合で見られますが、女性の場合は年齢とともに脂肪肝になる割合が増えて来ることが知られています。脂肪肝になる原因の主な2つにアルコールとカロリーの取り過ぎがあります。
【アルコール性脂肪肝】
飲酒が原因で起こる脂肪肝でそのまま飲酒を続けると、肝臓が炎症を繰り返し、やがて線維が肝臓にたまる肝硬変へと進行します。多く飲めば飲むほど、また長い間飲めば飲むほど進行し、特に女性の方が肝硬変へ進みやすいといわれています。肝硬変になってしまうと黄疸(顔が黄色くなる)・腹水(お腹に水がたまる)が出てきたり、食道静脈瘤ができ、時に吐血したり血便が出たりするなど命に関わる合併症が出てきます。日本人は遺伝的にアルコールに弱い体質の方の比率が欧米に比べると多いのですが、逆にアルコールに強い人ほど飲み過ぎてしまい、脂肪肝が進行しやすいので、かえってお酒に強いと思っている人ほど危険なのです。脂肪肝のうちは、禁酒・節酒で改善しますが、肝硬変にまで進んでしまうとお酒をやめてもすぐに戻ることはありません。一日量はビール中瓶1本または日本酒一合程度までに控え、上手にお酒とつきあいましょう。
【非アルコール性脂肪肝】
肥満・糖尿病・高脂血症などを背景に増えつつあるのがこちらのタイプの脂肪肝です。カロリーの取り過ぎや運動不足などで余ったカロリーが脂肪として肝臓にたまってしまうことで脂肪肝となることから、肝臓の生活習慣病といえます。生活習慣の乱れがないかを問診させていただいた上で、採血や腹部超音波検査などの画像検査で診断します。多くは生活習慣を見直すことで改善しますが、中には肝炎を引き起こし、徐々に肝硬変へと進行して、時に肝臓がんの原因になる『性格の悪い』脂肪肝 = NASHがあります。糖尿病患者さんの死因の1/3ががんであり、その中で一番多いのが肝臓がんでした。こうしたことからもNASHの患者さんは特に厳重なフォローが必要で、カロリー制限などの食事療法・運動療法のほかに炎症を抑えるための内服治療をおこない進行を予防する必要があります。
症状がなくても放置は危険。
健診などで見つかった脂肪肝は症状がないからと放置せず、脂肪肝の原因を突き止め、生活習慣を改善するとともに、脂肪肝としての『性格の悪さ』をきちんと調べておきましょう。
認 知 症
65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推計15%とされ、認知症の前段階・予備軍の高齢者もほぼ同じ位いるといわれています。
アルツハイマー型認知症は異常タンパクが原因
認知症にはいくつかの種類がありますが、最も多く、今も増えつつあるのはアルツハイマー型認知症です。この病気は脳に異常なタンパクがたまってしまうことで神経機能が落ちてしまい、記憶力や判断力がおとろえ、徘徊や妄想が起きたり、トイレの場所ややり方がわからず失禁などにつながります。
異常タンパクは症状が出る前から脳にたまりはじめている。
このタンパクは症状の出始める前からすでに脳に少しずつたまり始めていることが知られています。進行予防のための飲み薬がありますので、早期発見・早期治療が大切です。何かおかしいと感じたときには認知症診断のための問診やCT/MRIなどの画像検査を受け、正しく診断することが重要です。